生体認証(バイオメトリクス認証)とは?セキュリティの高さと導入時の注意点を解説
- 生体認証
公開日 2024.09.06
更新日 2024.09.06
生体認証は、日常生活や業務におけるセキュリティと利便性を向上させる技術です。この記事では、生体認証の仕組みや種類、メリット、活用事例などを詳しく解説します。生体認証を導入することで、個人情報の保護や業務の効率化が実現できるため、セキュリティ意識の高い企業や個人にとって非常に有益です。生体認証の導入を検討している方、セキュリティ対策を強化したい方にとって、この記事は必見です。
目次
生体認証とは
生体認証とは、バイオメトリクス認証とも呼ばれ、顔や指紋、音声など個人の身体的特徴を用いて本人確認を行う技術です。
個人にほぼ固有の生体情報を認証に利用するため、パスワードやPINコードに比べてセキュリティが高く、他人に真似されにくいという特徴があります。
生体認証は、スマホ(スマートフォン)のロック解除や銀行のATM、企業の入退室管理など、さまざまな場面で利用されています。近年では、eKYC(電子的な本人確認)にも広く採用されており、オンラインでの認証手続きが簡便かつ安全に行えるようになっています。
生体認証の仕組み
オンライン認証において、多要素認証はセキュリティレベルを高めるために極めて重要な技術です。従来のパスワードだけの認証ではセキュリティ面で脆弱性があり、実際に不正アクセスや情報漏洩のニュースが跡を絶ちません。しかし、パスワードやセキュリティトークン、生体情報など、複数の情報を組み合わせて認証を行う多要素認証であれば、セキュリティを大幅に向上させることができます。
さまざまな認証方法の中でも、個人の身体的特徴である生体情報を利用して本人確認を行う生体認証は、非常に強力なセキュリティ手段です。他人に模倣されにくく、高い精度で個人を特定できるため、パスワードなどと組み合わせることで、不正な認証を防止することができるのです。
生体認証は以下のような仕組みになっています。
最初にユーザーの顔、指紋、声、静脈などの特徴をシステムに登録します。そして、認証時にこれらの特徴を再度取得し、登録された情報と照合します。例えば、顔認証の場合はカメラで顔を撮影し、登録された顔データと一致するかどうかを確認します。
このプロセスを従来のIDやパスワードの認証と組合せることにより、より強いセキュリティを確保できます。なぜなら、身体的特徴は他人が簡単に模倣できないため、なりすましのリスクが大幅に減少するからです。
生体認証の種類と特徴
生体認証の種類は多岐にわたり、それぞれが独自の特徴を持っています。
【生体認証の種類】
- 顔認証
- 指紋認証
- 音声認証
ここからは上記の生体認証の特徴とメリット、デメリットについて、詳しく見ていきましょう。
顔認証
顔認証は、カメラを使って個人の顔をスキャンし、その特徴をデータベースと照合することで認証を行う方法です。この技術は、顔の輪郭、目の位置、鼻や口の形などの特徴を分析して、個人を特定します。
顔認証の最大のメリットは、非接触で認証が行える点です。これにより、衛生面でのリスクを低減し、ユーザーの利便性を高めます。また、スマホやパソコンなど、幅広いデバイスで簡単に利用できる点も魅力です。
しかし、照明条件や顔の角度によって認証精度が影響を受けることがあるため、環境に依存しやすいというデメリットもあります。マスクやメガネ、帽子などで顔の一部が隠れていると正常に認証できないこともあります。
また、顔認証のもう一つのデメリットが、写真や動画を使ったなりすましが可能な点です。写真や動画を認証システムに提示することで、認証を欺くことができますが、この課題を解決する技術が「ライブネスチェック」です。
ライブネスチェックとは、認証の際に写真や動画ではなく、実際に生きている人間であることを確認するプロセスで、まばたきや手ブレなどを検知することでカメラの前に本人がいることを判別します。これにより写真や動画を使った不正な認証を防ぐことができるのです。
その利便性の高さから、顔認証を導入するサービスは今後も増えていくことが予想されます。悪質な不正利用を防ぐためにも、顔認証を導入する際はライブネスチェックと組み合わせてセキュリティレベルを高めることが重要です。
指紋認証
指紋認証は、指の表面にある独特の模様を読み取って個人を識別する技術です。指紋は一人ひとり異なるため、非常に高い精度で個人を特定することができます。
この認証方法は、スマホやノートパソコン、出入管理システムなどで広く利用されています。指紋認証の大きなメリットは、認証が迅速で簡単に行える点です。指をセンサーに置くだけで認証が完了するため、ユーザーにとって非常に便利です。
ただし、指が汚れている、濡れている、傷があるなどの場合には認証がうまくいかないことがあるため、そうした点には注意が必要です。
音声認証
音声認証は、ユーザーの声の特徴を利用して本人確認を行う認証方法です。声の波形や音の高さ、リズムなど、個々の声に固有のパターンを分析し、登録された声と照合することで認証を行います。
音声認証の特徴として、特別な機器が不要で、スマホ(スマートフォン)やマイクがあれば利用できる点が挙げられます。また、手がふさがっている状況でも簡単に認証が行えるため、利便性が高いです。しかし、例えば風邪をひいたときなど、声の変化によって認証精度が低下する場合があります。また、騒音が多い環境にも向きません。
生体認証の必要性
近年は企業に対するサイバー攻撃が相次いでおり、信頼性の高い認証方式の導入が求められています。
特に不正アクセスにより、企業は機密情報の漏洩リスクを抱えます。大量の顧客情報など重大な情報が漏えいすると、企業は多額の賠償金や信頼の喪失といった大きな損害を被ることがあるのです。
実際に、総務省や警察庁、経済産業省の報告によると、2022年には不正アクセスの認知件数は前年比で約45%増加し、2023年にはさらに約200%増加しています。企業にとって生体認証の導入によるセキュリティ強化が急務となっています。
参照元:
警察庁、総務省、経済産業省「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」
日本損害保険協会「サイバー攻撃が企業に与える影響」
生体認証のメリット
先述のとおり、オンライン認証におけるセキュリティレベルを高める方法として、多要素認証は非常に有効な手段です。さまざまな認証方法なかでも、個人に固有で複製が困難な生体情報を利用する生体認証は安全性に優れ、機密性の高い情報にアクセスする際に極めて効果的な手段と言えるでしょう。
生体認証のメリットは多岐にわたり、例えば以下のようなメリットがあります。
【生体認証のメリット】
- セキュリティが強い
- ユーザーの利便性が高い
- 業務の効率化にもつながる
ここでは、特に注目すべきメリットを紹介します。
セキュリティが強い
生体認証は、従来のパスワードやPINコードに比べてセキュリティが強いと言われています。なぜなら、個々の生体情報は一人一人異なり、簡単に複製や盗用ができないためです。
例えば、顔認証や指紋認証は、顔の特徴や指紋のパターンを利用して本人確認を行いますが、これらの情報は非常に属人性が高く、他人が真似することがほぼ不可能です。また、音声認証も声のトーンや発音の特徴を解析するため、偽装が難しいです。
これにより、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に減らすことができます。さらに、最新の生体認証技術は機械学習やAIを活用しており、偽造や攻撃に対する耐性が向上しています。生体認証は高度なセキュリティを提供し、私たちのデジタルライフをより安全にしてくれるのです。
ユーザーの利便性が高い
生体認証の最大の利点の一つは、ユーザーの利便性が非常に高いことです。なぜなら、パスワードやPINコードを覚える必要がないからです。顔や指紋、声などの個人の特徴を使って認証を行うため、忘れたり紛失したりする心配もありません。
例えば、スマートフォンの顔認証機能を使えば、画面を見つめるだけで瞬時にロックを解除できます。また、指紋認証を利用すれば、指をかざすだけでアプリにログインできるため、手間が省けます。音声認証も同様に、音声コマンドを使って簡単に操作が可能です。
これらの機能は特に忙しい日常生活において、時間の節約やストレスの軽減に大いに役立ちます。
業務の効率化にもつながる
生体認証を導入することで、業務の効率化が図れます。なぜなら、生体認証は従来のパスワードやIDカードに比べて、認証速度が速く、手間がかからないからです。
例えば、従業員がオフィスに入る際に顔認証を使用すれば、カードを探したり、パスワードを入力する手間が省けます。また、出退勤管理も自動化されるため、タイムカードの打刻ミスや手動入力の手間も減少します。さらに、顧客対応においても、音声認証を用いることで、電話での本人確認が迅速かつ確実に行えます。
こうした効率化は、業務のスピードアップだけでなく、人的ミスの減少にも寄与し、結果として企業全体の生産性向上に繋がります。
生体認証の活用事例
生体認証は、さまざまな分野で活用されています。例えば、銀行のATMでの本人確認や、オンラインでの本人確認(eKYC)などが挙げられます。これらの事例を通じて、生体認証の便利さと安全性が広く認識されています。
ここからは生体認証の活用事例について見ていきましょう。
銀行ATMの認証
銀行ATMの認証において、顔認証技術は非常に便利で安全な方法として注目されています。具体的には、ATMを利用する際に、ユーザーの顔をカメラで撮影し、その画像を事前に登録された顔データと照合します。これにより、カードや暗証番号を使わずに、顔だけで本人確認が行えるのです。
この方法は、カードの紛失や盗難、暗証番号の漏洩といったリスクを減少させるだけでなく、操作も簡単で迅速です。特に高齢者や視覚障がい者にとっては、顔認証によるATM利用は大変便利で、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与します。
eKYC
eKYCとは、「電子的な顧客確認(electronic Know Your Customer)」の略で、オンライン上で本人確認を行うプロセスです。具体的には、銀行口座の開設やオンラインショッピング、さらには仮想通貨の取引など、さまざまなシーンで利用されています。
生体認証を用いることで、ユーザーは顔写真や指紋をアップロードするだけで、簡単かつ迅速に本人確認を完了することができます。これにより、従来の書類提出や対面確認の煩雑さが大幅に軽減され、ユーザーにとっても利便性が向上するのです。
生体認証を導入するときの注意点
オンライン認証における多要素認証は、デジタルセキュリティの要となる重要な手段です。認証方法のなかでも、生体認証は高いセキュリティレベルを実現できることはもちろん、パスワードなどと異なり覚える必要がないため、その利便性の高さからも注目を集めている技術です。
生体認証を導入する際には、セキュリティの強化が重要です。複数の認証方法を組み合わせることで、さらに安全性を高めることができます。また、高いセキュリティ対策を行っているサービスを選ぶことも大切です。
【生体認証を導入するときの注意点】
- 複数を組み合わせてセキュリティを強化する
- 高いセキュリティ対策を行っているサービスを選ぶ
ここからは上記2つの注意点について見ていきましょう。
複数を組み合わせてセキュリティを強化する
もともと堅牢性の高い生体認証ですが、複数の生体認証を組み合わせることで、さらにセキュリティ強度を高めることができます。
しかし、近年では高度なセキュリティを誇る生体認証を突破する手法が登場し、大きな問題となっています。先にも触れていますが、写真や動画を利用した「プレゼンテーション攻撃」で認証をくぐり抜けたり、さらに高度な手法としては、3Dプリンタで作成した精巧なマスクやマネキンを使用したりする攻撃も報告されています。
そして、最も懸念されるのは、AI技術を駆使したディープフェイクを悪用した攻撃です。これらの手法は、静止画や単純な動画による認証を容易に欺く可能性があります。
これらの脅威に対抗するため、ライブネスチェックの技術開発が急速に進んでいます。ライブネスチェックとは、認証時にまばたきや頭の動きなどを検知して、ユーザーが実際にその場に存在しているかを確認する技術です。
顔認証システムを導入する際は、ライブネスチェック技術を組み合わせることが重要です。複数の検証要素を統合することで、個々の脆弱性を相互に補完し、全体としてのセキュリティレベルを大幅に向上させることができます。セキュリティと利便性のバランスを取りつつ、常に最新の脅威に対応できるような対策を講じましょう。
高いセキュリティ対策を行っているサービスを選ぶ
生体認証は身体情報という、秘匿性の高い個人情報を扱うため、十分なセキュリティ対策が必要です。仮に身体情報が流出してしまった場合、不正利用や個人情報の悪用など重大なリスクが考えられます。
そのため、生体認証サービスを提供する業者を選ぶ際は、運営側のセキュリティ面をしっかり吟味することが重要です。例えば、データの暗号化やアクセス制御など、厳格なセキュリティ対策を実施しているサービスを選ぶことで、安心して利用することができます。
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生体認証(顔認証)システムまとめ
生体認証は、個人の生体情報を利用して本人確認を行う技術です。顔認証や指紋認証、音声認証などがあり、セキュリティの強化やユーザーの利便性向上に寄与します。銀行ATMやeKYCなど、さまざまな場面で活用されています。生体認証を導入する際は、複数の認証手段を組み合わせることで、さらにセキュリティを強化することが重要です。
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